2010/11/08

AEE Conference

11月4日から7日までLas Vegasで行われたAssociation for Experientisal Educationの38th International Conferenceに参加してきました。


前日にVegasには到着したのですが,さすがです。空港ロビーにSlotがあります!


会場となったのはRiviera Hotel,ACA(American Camp Association)のときもそうでしたが,大きなホテルのコンベンションホールを使用します。


もちろんホテルの中には巨大カジノが併設されています。


受付,さすがというか,いわゆる学会とは思えないラフな格好です。デニムは当たり前,11月だというのに短パンサンダルの人もいましたよ。とはいえ,ここLas Vegasは昼間の気温は25℃くらいまであがります。昼間の外は半袖で十分,ただし,室内は冷房バッチリで日本人は長袖必携です。


受付近くにはBook Storeが併設されていました。この辺もACAと一緒でした。

さて,Openingは,


今年のKurt Hahn Awardを受賞したDr. Jude Hirsch と Dr. Lee Gillisによる受賞講演。ACAに比べると人数は少ないですが,それでもざっと600名ほどはいたように思います。

このConferenceでは,SEERといういわゆる学会の口頭発表の他に,100以上のWorkshopが行われます。詳しくはこちらを見ていただくとして,ぼくが参加したものについてちょっと紹介してみようと思います。

まずはWorkshopから。
Health, Nature, and Experiential Education: What is the connection?
/Alan Ewert, Denise Mitten & Jill Overholt

これは,健康と自然環境,野外教育の関係についてさまざまな理論を参照しつつ,Intentionally Designed Experience(意図的に計画された経験=指導者が目的を持って行うさまざまな体験活動)が参加者の健康や自然環境に対する意識にどんな影響を及ぼすか,どのような活動がIntentionally Designed Experieceになり得るかを討議したものです。もうちょっとどんな理論があったのか紹介したかったのですが,Presentationの速度がKazuにはちょっと早すぎました・・・
ちなみにAlanはAdventure Educationの研究に関する第一人者で,Kazuが昨年OBSのコースに参加したときのInstructorです。こんな大御所が未だに現場の第一線で活躍しているのは本当にすごいと思います。

Using Self-efficacy Scales, Writing Rubrics, Reflective Writing Assignments, and Program Outcomes: A Synergistic Cluster of Teaching and Evaluation Tools
/John Bennion, Stacy Taniguchi & Catherine Curtis

Riflective Writingというのは,いわゆるふりかえりを目的とした文章のこと。日本でもよく行われていますよね。最近こちらではこのような文章(Reflective Journalなどと呼ばれることもあります)を積極的にToolとして使用し,評価の一部としようという動きがあります。このWorkshopでは,1)英語の先生がEffective Writingの授業で文章の書き方を指導し,2)Recreation担当の先生がAdventure tripの授業を行い,3)その最後にReflective Writingを書いてもらい,3)文章の書き方を指導したグループと指導していないグループを比較してAdventure Tripに対するとらえ方がどう違ったかについての研究の紹介がありました。
その研究を元に,効果的なReflective Writingに関するModelが紹介されました。詳しくは後ほどこちらにアップされるそうです。
ちなみにPresentaerのJohnとStacyとは1月のReseach Symposiumでも会いました。Stacyはお父さんが日本人で,めっちゃ日本人顔です(もちろん英語がFirst Language)。

Kinesthetic Metaphors in Adventure Therapy
/Michael Gass & Lee Gillis


このWorkshopはTherapyの一環としてさまざまなAdventure Programを実施する上でどのようにKinesthetic Metaphorを使用するかについて学ぶものです。Kinesthetic Metaphorについてくわしくはこちら。誤解を恐れずに超訳すると,薬物中毒や暴力などさまざまな問題を抱えるクライエントに対して,その状況を反映するような活動(これがKinesthetic Metaphor=メタファー:隠喩としての身体活動=この活動ってもしかすると自分の日常の中でこんなことにあてはまるかもしれない)を提供し,そのふりかえりをすることによってクライエントの抱える問題を解決する手がかりを得ようとするものです。今回は薬物中毒のTeenに対して,現在の状況を正しく理解し,その状況を解決するための活動とふりかえりを考えるというものでした。この様子は全て録画され,後ほどWebsite(ちなみにこれは2009年度のもの)に公開されるそうです。
ちなみにPresenterの1人,Lee Gillisは今回のKurt Hahn Awardの受賞者の1人です。

Facilitating Inclusion in Outdoor Adventure: Decisions in Management and Modifications
/Alison Voight & Catharine Bishop


さまざまな障害やニーズを持つ参加者に対してどのようにAdventure Programを提供していくかについてのWorkshopです。まずはさまざまな用語の定義から,対象の特徴別の留意点等,特に目新しいものはありませんでしたが,PresenterのAlisonとContactをとることができました。Presenterの2人とも,今年の1月に訪れたBradford Woodsでさまざまなプログラムを行っており,いろいろな情報がもらえたらいいなあと思っています。

SEER(Symposium on Experiential Education Research)
いわゆる学会の口頭発表です。今回は22題の応募の中から時間や会場等とのかねあいから12題に減らしたそうです。ただし,来年はポスター発表等も取り入れ演題数を増やすと言っていました。ちなみにAbstractをこちらから入手することができます。会員に限らずこのような文献や情報が手軽にダウンロードできるところがやはりこちらのすごいところだと思います。KazuはSession 3と4に参加しました。
ちなみにConferenceの様子がFacebookにあがっていたり,毎日Newsletterが発行されたり,本当にさまざまな情報を手に入れることができます。見習わなくちゃいけないですね。

Keynote
2つの講演がありました。ひとつはイギリス・ニューカッスル大学のDr. Sugata Mitra。Future Learningというタイトルで,自らが取り組んでいるHole in the Wallというプロジェクトの紹介から,子どもの持つ学習能力の高さについての講演でした。かれらは,インドのニューデリーのスラムに壁に埋め込んだPC(インターネットに接続されています)を設置しました。すると2ヶ月後には誰が教えたわけでもないのに子どもたちが自由自在にPCを使いこなし,わからない子どもに教えていたそうです。その他,子どもたちが対象に興味を持ったときにそれを自らが学習することを証明するさまざまな実験を紹介してくれました。Kazuもあとで知ったのですが,Mitraの講演はTED(Technology Entertainment Design)が主催し,様座な著名人が講演するTED Conferenceでも行われ,TED Talksという講演を配信しているWebsiteでも視聴することができます。ここでは日本語の対訳も見ることができますので,是非のぞいてみてください。講演直後に会った知り合いはFantastic!と興奮して握手を求めてきましたよ。


もうひとつはPlace-Based Educationの提唱者David Sobelです。Sobelに関しては昨年原稿を書く際にいろいろ調べていたので講演を楽しみにしていました。小さい頃から地球環境問題等の深刻さ(地球温暖化、熱帯雨林の減少等)を教えることによって、かえって子どもたちにそうした深刻さから逃れるために距離をおくようになり、子どもたちをEcophobia(エコロジー恐怖症)にしてしまうと述べています。そう言ったことを防ぐために小さい頃は身近な自然や地域に親しむような活動をすることが大事だとし,Place-Based Education(PBE)を提唱しています。今回の講演では,最近行ったさまざまな研究プロジェクトの中から,PBEと学力向上の関係についての話が中心となりました。実は現在アメリカでも学力低下の深刻さがわだいとなっており,さまざまな教育改革の話題がニュースを賑わせています。PBEに関してくわしくはこちらをどうぞ。

その他の催し物
ACAと同じようにさまざまな団体によるExhibit(展示)もありました。


Conferenceの性質上,学校紹介が多かったかな。初日の夜はこのホールで軽食やアルコールも楽しむことができました。
その他にも参加者が出品したもの(サイン入りの著書や中古の衣類,バックパックなど)のオークションが行われたり,宝探しの時間があったり,なかなかアメリカのConferenceは楽しいですね。

Las Vegasの街
Conferenceの間にはもちろん街も散策しました。どのホテルにも必ずCasinoがあり,中には室内に


こんな巨大なAmusement Areaがあったりします。夜ともなると


ネオンが光り輝き,たくさんの人が通りを歩き,


Casinoはこのような賑わいを見せます。いやあ,すごいところです。

今回のConferenceは1人で参加なので,Showを見ることもなく,Casinoに繰り出すこともなく,会場と宿泊ホテルを往復するちょっと残念なin Las Vegasでもありました。この街で1人はちょっと寂しいね。

こちらに来てから,AEEのConferenceには必ず参加しようと思っていたので,参加できたことは本当に良かったです。時期が時期ですが,事情が許されるならまた参加したいです。International Conferenceなので本当にさまざまな国からの参加者がありました。日本からの参加者がとても少ないのが寂しいですね(初めて参加しているくせに言うのも何ですが・・・)。

0 件のコメント:

コメントを投稿